令和の断面

vol.254 佐々木朗希が心配だ

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     ロサンゼルス・ドジャース佐々木朗希投手が心配だ。
     先発した5月9日のダイヤモンドバックス戦をテレビで観たが、ひとことで言えば、ドジャースというチームがまだ自分の家になっていない感じがした。
    
     分かりにくい言い方かもしれないが、要するに遠慮があるというか、チームに溶け込んでいない気がするのだ。
     この日は4回0/3を投げて5安打(2本塁打)を許して、メジャー最多の5失点、三振を一つも取ることができなかった。
    
     佐々木投手は、3月19日のカブス戦(東京ドーム)から先発ローテションの一角として、ここまで8回先発のマウンドに上がっている。
     成績は1勝1敗、防御率4.72とそれほど悪い成績ではないが、本来の力を出し切れていない。
    
     9日のダイヤモンドバックス戦は、初めての中5日の登板で、コンデションが心配された。
     その点について本人は「調整自体に難しいというのは感じなかった。中5日だからパフォーマンスに影響したという感じはない」と語っている。
     それでも本人が自覚できないところで中5日が響いているのかもしれない。
    
     初回、2番のマルテにソロホームランを打たれると、2死2塁から5番スアレスにも1発を浴びて厳しい立ち上がりになってことは否めない。
     しかし、たとえ打たれても先発投手は堂々としていなければいけない。
    
     それがベンチに戻るとすぐさま裏のロッカーロームに消えて、他の選手とのコミュニケーションもない。もしかするとロッカールームで打たれた映像や次の回に対戦する選手のデータをチェックしているのかもしれないが、チェンジになってマウンドに行く時も、誰よりも早く走って一人だけ先に投球練習を始めるのだ。
     それは決して悪いことではないが、観ていて余裕がないというか、私にはすべてが慌ただしく映るのだ。
     そして、ランナーもいない先頭打者から、肩で息をしながら投げている。
    
     もっと自分のペースで投げて欲しい。
     いくら力があってもリラックスが必要だ。
     佐々木投手には、自分の家で遊ぶように、伸び伸びと投げて欲しいのだ。
     今の彼に必要なことはその種のことだと思う。
     言い方を変えれば、真面目に投げすぎている。
    
     この日は61球を投げて、ストライク率が過去最高の70.5%と高かったのは、ストライクをどんどん投げて早く終わらせたいという思いが無意識に働いていたのかもしれない。またそこには、思うような成績が上がっていないという焦りも当然あるだろう。
     いずれにしても、この日の佐々木投手のプレーを観ていて感じたことは、とにかくどっしりと落ち着いた感じがしないのだ。
     それは成績が伴ってできることではあるが、もっともっと楽しく投げて欲しい。
    
     そこは大谷翔平選手を是非見習ってほしい。
     彼は、ベンチでも塁上で、つねに笑顔を見せている。
    
     ドジャースが居心地の良い家になるかどうか。
     そこが佐々木投手にとっての重要な要素だと思う。
    
     このままでは、ますます彼が孤立していく気がする。
     表現すべきは、メジャーで投げていることへの喜びだ。
    
    
    

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