9月下旬になっても暑い日が続いているが、そんな中、秋の気配をゴルフ中継に感じる。選手は、まだまだ夏の装いだが、ゴルフ場の木々は少しずつ色づいている。ギャラリーも秋らしい格好が目立つようになってきた。
先週末(21日)は、各種のトーナメントが開催されていた。
男子ツアーは、「ANAオープン」。
石川遼選手と金谷拓実選手が17アンダーで並びプレーオフの末に金谷選手が国内通算8勝目を飾った。
女子ツアーは、「住友生命レディース東海クラシック」。
首位でスタートした神谷そら選手が13アンダーで今季2勝目を挙げた。
50歳以上の選手が出場する「日本シニアオープン」は、海老沢文博選手と増田伸洋選手が2打差に迫ったが、タイのサマヌーン・スリロット選手(56歳)が14アンダーで逃げ切って初優勝を果たした。
どれも注目の大会だが、私がテレビで見続けたのはNHK・BSで放送された「日本シニアオープン」だった。
青島健太67歳。私と同じ年、同学年の原辰徳さん(元巨人軍監督)がこの大会に出場していて注目を集めたが(残念ながら予選落ち)、原さん以外でも同世代のシニア選手たちがどんなプレーを魅せてくれるのかが楽しみだった。
どの選手も若いころのような飛距離は望めなくなっているが、それでもシニアプロで活躍している選手たち。アプローチやパッティングの妙で味のあるプレーを連発していた。
しかもこのテレビ中継を離れられなくなってしまったのは、解説の青木功さんの話が抜群に面白かったからだ。
御年83歳。
それでも経験に裏打ちされた解説と選手への指摘がつねに的を射ている。
例えばある選手がボギーを叩いた直後、次のホールでのバーディーを予測する。
そしてその予想の通りにバーディーが来たところで、アナウンサーがたまらずにそこを尋ねる。
「青木さん、なんでバーディーが分かるんですか」
すると青木さんは、誰も気が付いていない観点を指摘した。
「この人ね、今日のラウンドはボギーを叩いた次のホールは全部バーディーであがっているんですよ。きっとボギーの後は開き直って打つからなんでしょうね」
そこでタイミングよく画面でその選手のスコアが紹介されると、確かに4つあるボギーの後は、すべてバーディーであがっているのだ。
これが分かるのは、きっとそれが現役時代の青木さんの心理でもあるからなのだろう。
ある実力者のプレーには、「笑顔が足りない」と解説していた。
「今日はね、楽しくプレーしていないんだよね。だからスイングも振り切れていない。もっと思い切りよく振らないと」と指摘した。その結果、右にプッシュアウトするような打球が多く出ていたのだ。最終ホール、ティーグラウンドで笑顔を取り戻したその選手のドライバーは、見事にフェアウェイを捉えていた。
そんな観察眼と選手への深い洞察が面白くてついつい最後まで観てしまった。
「シニアになると視力が衰える。今まではっきり見えていたものが見えなくなってくる。若いころとくらべて、選手としては、そこが一番の違いですね」
そんな話に、選手ではない私まで頷いてしまう。
日本シニアオープンを5回優勝している青木さんだが、アメリカのシニアツアーでプレーしている時に、こんなことを言っていた。
「この年齢になってもアメリカの砂場(バンカー)で遊ばせてもらえる。こんなに有難いことはありませんよ」
どんなことでも喜びの中でプレーする。
そこに活躍の秘訣があるようだ。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。