令和の断面

vol.276 新庄監督の口撃

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     パ・リーグのクライマックスシリーズ「ファーストステージ」は、日本ハムがオリックスを2連勝のストレートで破り、ソフトバンクが待つファイナルステージへの進出を決めた。
     オリックスとの1戦目は2対0、2戦目も5対4といずれも接戦を制して自分たちの持ち味を発揮した。
    
     勝因はもちろん活躍した選手たちの頑張りにあるが、日本ハムに良い流れを持ち込んだのは、新庄剛志監督のトーク(駆け引き)にあったと思う。
    
     ファーストステージ前日には、両チーム監督、選手による記者会見が行われた。
     オリックスからは岸田護監督と若月健矢捕手、日本ハムからは新庄監督と清宮幸太郎内野手が出席した。
    
     この席で、新庄監督が仕掛けたのはトークによる揺さぶりだった(笑)。
    
     まずは相手への敬意を表す。
     「(23年まで)3連覇しているオリックスさんの方が経験値があるので、まあ勝ち負けでいったらオリックスさんの方が有利かな」
    
     そしてここから新庄劇場が始まる。
     「あとはファーストゴロがあまり飛ばないようにしてもらえたらうれしいな」
     「清宮君がエラーしたときに点数がものすごく入ってしまう。それだけはお願いしたい」
     これには隣にいた清宮も思わず爆笑してしまう。
    
     今度は、その矛先が相手チームに向かう。
     「岸田監督はバントが好きなんで、若月君の前に塁がたまったらバントして欲しいな」
     「若月君はワンパターンの配球が多いんで(笑)、一発でそれを仕留められるようにやらせたい」
     こうした口撃に岸田監督も黙っている訳にはいかなかった。
     「今日、ファーストゴロを打つ練習をできたら…」と新庄監督に応じた。
    
     しかし、これは完全に新庄監督のペースだった。
     相手の作戦にも言及してこんなことも言った。
     「(オリックスは)1塁3塁で他のチームの試合ときは、セカンドスローに行くんですけど、ウチと対戦するときはサードに来るんですよ。だから1塁ランナーを走らせて2塁3塁からの攻撃をしようかと。他の方法も2つ考えているので、楽しみにしといてください」
    
     こうした新庄監督のトークには、会見の場を盛り上げようという気持ちもあるだろうが、それ以上に試合を意識した相手への揺さぶりが込められている。
    
     「(清宮へ)1塁ゴロは打たないで」という話は、彼とチームをリラックスさせるためのものであり、岸田監督の「バント好き」や若月捕手の「ワンパターンのリード」「1塁3塁の送球」などの話は、相手の分析は日頃から十分にやっているという威嚇である。こうしたことを言っておけば、オリックスも今まで通りやるかどうか考えさせられることになる。
    
     清宮のエラーを笑いに変えて、その合間に相手のクセや作戦をチクチク攻める。
    
     この2戦、1塁を守る清宮に何度もゴロが飛んだが、すべて無難にこなし、大量点につながることはなかった(笑)。
    
     新庄監督の作戦は、見事に成功した。
    
    
    

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