パ・リーグのクライマックスシリーズ「ファーストステージ」は、日本ハムがオリックスを2連勝のストレートで破り、ソフトバンクが待つファイナルステージへの進出を決めた。
オリックスとの1戦目は2対0、2戦目も5対4といずれも接戦を制して自分たちの持ち味を発揮した。
勝因はもちろん活躍した選手たちの頑張りにあるが、日本ハムに良い流れを持ち込んだのは、新庄剛志監督のトーク(駆け引き)にあったと思う。
ファーストステージ前日には、両チーム監督、選手による記者会見が行われた。
オリックスからは岸田護監督と若月健矢捕手、日本ハムからは新庄監督と清宮幸太郎内野手が出席した。
この席で、新庄監督が仕掛けたのはトークによる揺さぶりだった(笑)。
まずは相手への敬意を表す。
「(23年まで)3連覇しているオリックスさんの方が経験値があるので、まあ勝ち負けでいったらオリックスさんの方が有利かな」
そしてここから新庄劇場が始まる。
「あとはファーストゴロがあまり飛ばないようにしてもらえたらうれしいな」
「清宮君がエラーしたときに点数がものすごく入ってしまう。それだけはお願いしたい」
これには隣にいた清宮も思わず爆笑してしまう。
今度は、その矛先が相手チームに向かう。
「岸田監督はバントが好きなんで、若月君の前に塁がたまったらバントして欲しいな」
「若月君はワンパターンの配球が多いんで(笑)、一発でそれを仕留められるようにやらせたい」
こうした口撃に岸田監督も黙っている訳にはいかなかった。
「今日、ファーストゴロを打つ練習をできたら…」と新庄監督に応じた。
しかし、これは完全に新庄監督のペースだった。
相手の作戦にも言及してこんなことも言った。
「(オリックスは)1塁3塁で他のチームの試合ときは、セカンドスローに行くんですけど、ウチと対戦するときはサードに来るんですよ。だから1塁ランナーを走らせて2塁3塁からの攻撃をしようかと。他の方法も2つ考えているので、楽しみにしといてください」
こうした新庄監督のトークには、会見の場を盛り上げようという気持ちもあるだろうが、それ以上に試合を意識した相手への揺さぶりが込められている。
「(清宮へ)1塁ゴロは打たないで」という話は、彼とチームをリラックスさせるためのものであり、岸田監督の「バント好き」や若月捕手の「ワンパターンのリード」「1塁3塁の送球」などの話は、相手の分析は日頃から十分にやっているという威嚇である。こうしたことを言っておけば、オリックスも今まで通りやるかどうか考えさせられることになる。
清宮のエラーを笑いに変えて、その合間に相手のクセや作戦をチクチク攻める。
この2戦、1塁を守る清宮に何度もゴロが飛んだが、すべて無難にこなし、大量点につながることはなかった(笑)。
新庄監督の作戦は、見事に成功した。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。