いま、新関脇・安青錦にハマっている。
大相撲ファンには、何の説明も要らないだろうが、「あおにしき」と読むこの力士は見ていて本当に気持ちが良い。
気風(きっぷ)の良い相撲とは、まさに彼の相撲を言うのだろう。
身長182センチ、体重138キロ。
力士としては決して大きくない。
ちなみに、筆者青島の身長は183センチだ。
出身はウクライナ。
7歳の頃から相撲を始め、レスリングと両方に取り組んでいた。
2019年の世界ジュニア相撲選手権大会で3位に。レスリングでも17歳の時にウクライナの国内大会(110kg級)で優勝している。
ところが2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まり、戦火を逃れて相撲を続けられる環境を求め同年4月に来日した。その後、12月に安治川部屋の研修生となり、各界にデビューすることになる。四股名に「青」の字が入っているのはウクライナの黄と青の国旗にちなんでいる。
安青錦の相撲を見ていて気持ちが良いのは、とにかく前に出るからだ。
引いたりかわしたりはしない。
特徴的なのは、仕切りの時の姿勢だ。
普通の力士は、股を割って大きく腰を下ろしたところから動き出すのだが、安青錦の仕切りは、どちらかと言えば腰が高い。
それはレスリングのスタイルと言えるだろう。
レスリングのように頭を低くして相手に向かっていく。
腰が高い分、足が使える(前に出る)のでその勢いで相手を圧倒する。
常に頭が低いので、相手の身体は起こされて安青錦に押し込まれるような態勢になってしまうのだ。
原稿を書いている11月18日の昼現在、8勝1敗で早くも勝ち越しを決めている。新入幕から4場所連続で11勝、今場所も1敗で全勝の横綱・大の里を追いかけている。
9日目の平戸海戦も、好調平戸海に攻め込まれる場面もあったが、最後までまわしを離さず、苦しい態勢ながらも「寄り倒し」で勝った。
「下から攻めて良かった。自分の形なので、まわしを離さないように」
この相撲でも頭を下げた低い姿勢が結局は勝利の要因だった。
いつでも思い切りの良い相撲を取り続ける安青錦だが、意外なことに緊張しやすい性格だという。
そんな性格を知った安治川親方は、幕下時代にこう声を掛けたそうだ。
「緊張するのは,おまえの仕事だ」
以来、安青錦は「気持ちの整理ができるようになった」というから、素晴らしいアドバイスだ。
これまで大の里には2戦2敗とまだ勝てていないが、横綱を倒しての優勝にも期待が膨らんでくる。
安青錦は、まだ21歳。
間違いなくこれからの各界を背負っていく力士になるだろう。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。