令和の断面

vol.294 侍ジャパンに源田がいて良かった!

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     これがまさに「杞憂に終わる」ですね。
     前回の原稿で「WBCサムライ・ジャパンが心配だ」と書いたのですが、要らぬ心配、とりこし苦労に終わったようです。
    
     チームに勢いをつけるリードオフマン(ヌートバー)の不在。
     素晴らしいスラッガーは揃っているが、
     足を絡めた細かい野球ができないのでは?
     選手任せの馬なりの戦いになるのでは?
     という心配から開幕前に「杞憂」と書いたのだが、まったくの的外れ。
     でも、これは当たらなくてよかった。
    
     初戦の台湾戦が大事と位置付けたが、そこはまさにその通りだった。
     チームに勢いをつけるということであれば、大谷翔平(ドジャース)の満塁ホームランがすべてだが、ここではそこに至る伏線を書いておこう。
    
     このゲーム、もっと言えばこのシリーズ(グループC)の行方を決めたのは、牧秀悟(横浜)と源田壮亮(西武)だろう。
     それは満塁で大谷を迎えるその前のシーンである。
    
     まず2回表の日本の攻撃は、6番の村上宗隆(ホワイトソックス)から始まる。
     村上が四球を選んでノーアウト1塁。ここで打席に7番牧が入る。
     1球目は外のスライダー。これに牧は反応するがボール球なので見逃す。バッテリーは外のボールに牧の意識があるのを感じたのだろう。ランナーを進塁させるためにも外のボールを右方向へ狙うのがこのケースでの定石だ。そこで台湾バッテリーはインコースの強いボールを選択する。詰まらせてダブルプレーを取りにきた。おそらく牧は、このインコース攻めを想定していたのだろう。腕をたたんで詰まりながらも、レフト前にもっていく。これでノーアウト1塁2塁に。
     まずは、このバッティングが秀逸だった。
    
     さて、ここからの攻めがさらに難しくなる。
     ノーアウト、ランナー1塁2塁でどうするか。
     打席は8番源田。
     バントのサインが出ても、本人も納得する場面だったと思う。ところがバントのサインは出ない。源田は、普通に1球目から打ちに行く(バントの構えはしなかった)。そこへインコース身体すれすれのボールが来る。
     避けようとすれば十分に避けられるボールだった。
     ところが源田の軸足は動かない。
    
     「当たりにいった」とは言わない。
     しかし、野球をやっていた人ならわかるだろうが、当たっても仕方がないというか、「当たってくれ」とばかりに、足を動かさないのだ。
     何度も言うが、当たりにはいっていない。
     ちゃんと逃げながらも、当たったらラッキーとばかりに後ろの軸足はそのまま残しておくのだ。
    
     そしてピッチャーの投じたボールがわずかに源田の左足(軸足)をかすめる(リクエストで判明)。
     これでノーアウト満塁が出来上がって、大谷へのお膳立てが整うのである。
    
     牧の打撃が技術なら、源田の避け方も技術である。そしてそこには「何をやりたいのか」という明確な意思が働いている。地味ながらもこの二人のプレーがなかったら、大谷の満塁ホームランは生まれていない。
     大谷や鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)に豪快なホームランが飛び出して最高の形でアメリカに向かう日本代表だが、その勢いを生んだのは、牧と源田だ。
    
     日本の強さは、彼らがやってのけるようなチームプレーにこそある。
    
    
    

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