昔のファミリードラマでよく出てきたシーンだ。
サラリーマンの主人公が、会社で仕事をしている。朝から何だか落ち着かない。それもそのはず。奥さんの出産が近づいているのだ。
職場の同僚も気遣って声を掛けてくる。
「大丈夫、きっと元気な赤ちゃんが生まれるよ!」
そんなところに電話が掛かってくる。
「○○さん、病院から電話」
取り次いだ女性社員が、大きな声で主人公を呼ぶ。
恐る恐る電話に出た○○は、思わず叫んでしまう。
「やった。生まれました」
と、昔は、こんな感じでおめでたいシーンが描かれていた。
でも、今の若い人たちは、ここですぐに疑問が浮かぶのかもしれない。
何で会社に来ているのか?
出産に立ち会うべきでしょう?
等々
この昔の場面には、さらに続きがある。
主人公は、勤務時間が終わるまで会社にいて、終業のベルが鳴るや否や赤ちゃんに会いに、病院に向かうというのがよくあるケースだった。
今では考えられない働き方かもしれない。
ここからはドジャースの大谷翔平選手の話である。
周知の通り大谷選手が3日間の産休を取った。
メジャーリーグでは、「PATERNITY LIST」と言われ、父親のための産休制度がある。24時間以上、72時間以下のチーム離脱が認められている。
この間はサービスタイムとしてメジャー登録日数に加算される。つまり公休として休めるのだ。
これを使った大谷選手は、真美子夫人の出産に立ち会って(2試合を休んで)現場に復帰したのだ。
2011年から始まったこのシステムも最初は批判の声があったようだ。選手が試合を休むことの是非をめぐって論争があった。
しかし、今ではすっかり定着し多くの選手が産休を取っている。
翻って日本では、男性の産休や育休がまだまだ浸透していない。
男性の意識の問題や社会的な理解が進んでいないことに原因があるのだろう。
普段は、ホームランや剛速球で注目される大谷選手だが、こうしたことでの貢献も果たしている。
これも素晴らしい野球との二刀流といえるだろう。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。