
■野球はどこまで有料になるのか
気づけば毎月、サブスクの引き落としがある。野球中継の有料会員、ファンの方ならファンクラブ。野球を追いかけるだけで、それなりの金額が消えていく時代になった。
私が子どもの頃は、もっと身近だった。テレビをつければ巨人戦が映っていたし、新聞のスポーツ欄に昨日の全試合結果が載っていた。今もテレビ中継はあるけれど、観たい試合を観たいだけ観ようと思ったら、結局どこかで課金が必要になる。
球場に行けば観られた。テレビをつければ中継があった。その頃と比べると、情報量も格段と増えてはいるが、無料で触れられる情報は減って、「ファンであり続けるコスト」は確実に上がっている。
メディアは広告収入だけでは成り立たない時代になり、球団は入場料以外の収益源を求め、選手は自分の価値を直接マネタイズする。三者それぞれが「どこまで有料化するか」を探っている構図になっている。
■何に一番お金が動いてるのか
ファンの財布の紐が緩む場所も変わってきた。アイドルの「推し活」が野球にも流れ込んで、「応援する」こと自体が課金対象になった。球団が用意するチケットやグッズより、選手個人に直接届く課金の方が、ファンの熱を掴んでいるのかもしれない。
私たち編集者も岐路に立たされている。
ネットに情報が溢れ、SNSで速報が流れる。試合結果も選手コメントも、誰もが同じタイミングで手に入る。無料記事だけで読者を掴むのは難しい。
生き残るメディアは、「ここでしか読めない」価値を作り続けている。独自取材の深掘り、選手の本音を引き出すインタビュー、データに基づいた考察。そして、読者が「お金を払ってでも読みたい」と思える編集。無料で撒く情報と、有料で届ける体験を分ける。編集者の腕が問われる時代になった。
正直、どこまで無料で出すべきか、どこから有料にするべきか迷うこともある。でも一つだけ確信していることがある。「これは読む価値があった」と思ってもらえる記事を作り続けること
球団もいろいろと面白い取り組みをしている球団もある。「球場に来てもらう」前の接点づくりに力を入れている。キッズルームやキッズフィールドで子連れ観戦のハードルを下げ、公式アプリのゲームやポイント機能で試合のない日も毎日触れる理由を作る。「いつの間にかファンになっていた」状態を設計する取り組みといえる。無料施策の先に、記憶に残る観戦体験と長期的な関係性が生まれる。
無料での接点を増やして、やがて「お金を払ってでも応援したい」と思える関係性を育てる。
野球を取り巻く環境は変わっている。メディアも球団も選手も、生き残りをかけて有料化を進めている。一方で、無料の接点を大切にする動きもある。
野球メディアを運営する私もソフトバンクホークスの専門サイトで、サブスクを運営している。金額に見合った価値を提供することでファンの満足度を高め、欠かせない存在になろうとしている。そのためにファンや野球界、チームに何が必要かを考えて、今日を過ごす。
すべてを有料にすれば、新しいファンは生まれない。すべてを無料にすれば、続かない。その境界線を、私たちはまだ探している途中だ。ただ、少しずつわかってきてはいる。大切なのは、ファンが何を考えているのか。ヒントはスタジアムに必ずある。
■ソフトバンクホークス専門サイト「鷹フル」
https://taka.full-count.jp/
「ホークスを創るのは、わたしたち。」をコンセプトに、ファンと共に語り、共に創る“円陣”のような発信基地です。誹謗中傷のない会員制の空間だからこそ、同じ熱量を持つ仲間と、時には番記者たちと純粋に喜びや悔しさを分かち合えます。“公式”の外にある本音や本質に触れるだけでなく、限定イベントなどの体験を通じて愛を深め合う「参加型サービス」であり、ホークス愛で繋がる純粋な空間と、価値ある情報を創っていきます。
楢崎 豊(NARASAKI YUTAKA)