令和の断面

vol.292 後の態度が大事だぜ!

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     ミラノ・コルティナ五輪、ノルディックスキー・ジャンプ「男子スーパー団体」。
     今大会から採用された新種目だ。
     二人の選手がそれぞれ3本ずつ飛んで、勝敗を争う。3本飛べば真の実力が試される。世界最高のチームを決める種目とも言えるだろう。
     日本のメンバーはエースの小林陵侑と今大会ノーマルヒル(銅)とラージヒル(銀)でメダルを獲っている二階堂蓮の最強コンビだ。
    
     ラージヒルで行われるこの種目。
     1回目、まず二階堂が挨拶代わりに131.5メートルを飛び3位タイ、各国のエースが揃う2人目で小林が129メートルを飛び、全体の5位につけた。
     2回目も二階堂が131メートルで3位に上がり、小林も130メートルを飛んで全体6位で3回目に臨んだ。
     
     二階堂は相変わらず好調だった。3回目、138.5メートルのビッグジャンプを見せて2位に浮上する。こうなればエースの小林が最後にやってくれる。
     逆転の日本を見せる最高の展開だった。
    
     しかし、ここで突然大雪が降ってくる。
    
     試合は中断し、結局ここで打ち切りになってしまったのだ。
     日本は、この時点で2位。
     混合団体と合わせて日本ジャンプ史上最多となる通算4つ目メダル獲得か、と思われたが、日本チームにとっては非情の決定が下された。
    
     順位は全員が飛んだ2本目までの成績を採用し、日本は6位となってしまったのだ。
    
     この決定に、言いたいことは山のようにある。
     中断が続く中、もう少し待てば競技が再開できたのではないか。
     なぜ、もっと待たなかったのか。
     事実、中止が決まった20分後に雪は止んでしまった。
    
     3回目、1人目は全員飛んでいるのだから、その時点の成績で順位を決めても良かったのではないか。そうであれば日本は銀メダルだった。
    
     と、まあ、いろいろな意見や不満が噴出することは当然想定されることだが、大会本部の見解は「雪が重く湿ったものだったので、その状態で競技を続けることは助走や着地において選手の安全にかかわるので中止を決断した」とのことだった。
    
     選手の安全が第一。
     そういう理由であれば、これに異を唱えるのは難しいが、それにしても日本チームにとっては後味が悪い結末になってしまった。
    
     と、ここまで事の顛末を時系列に書いてきたが、この稿で言いたいことは大会運営の難しさについてではない。
     この結果を受けて発した二階堂と小林のコメントが秀逸だったので、それを紹介したかったのだ。
     ミックスゾーン(インタビューエリア)に来た二階堂は、悔しさをにじませながらも言った。
    
     「これがオリンピック。そう思うしかない。悔しさを通りこしてむしろ前向きになっています」
    
     小林も「スキージャンプなんで……」と余計なことは言わなかった。
    
     そして日本スキー連盟の原田雅彦会長も「残念でしたけど仕方ない。ジャンプ競技ならではの勝負のつき方」とサバサバと語った。
    
     そう、これでいいんです。
     いや、これがいいんです。
    
     何を言っても、もう結果が覆ることはない。
     そしてジャンプ競技は、つねに自然との闘い。
     そのことをよく知るアスリートの潔さがカッコイイ。
    
     たとえメダルは逃しても、後の態度は金メダル。
    
     さすが日本の選手たちです。
    
    
    

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