【令和の断面】vol.73「侍ジャパンは、若手の躍動が鍵を握る」

令和の断面


「侍ジャパンは、若手の躍動が鍵を握る」

 東京五輪、野球競技の出場国が確定した。
 参加するのは日本を含め6か国。日本と同じA組にはメキシコ(ランキング5位)とドミニカ(同10位)、B組にはアメリカ(同2位)と韓国(3位)、イスラエル(同18位)が入った。

 7月28日(@福島)から始まる1リーグは、各組総当たりで順位を決め、その順位に従って全チームが決勝トーナメントに進出できる。グループ1位で決勝トーナメントに進出すると、スケジュール的に余裕を持って戦いを進めることができる。たとえ1次リーグが3位で終わっても、金メダルの可能性は残されているが、酷暑が予想される横浜スタジアムで6連戦を戦わなければならない。
 金メダルの獲得を目指すならば、予選を1位で通過したいところだ。
 各国とも現役メジャーリーガーの招集はできないが、国内リーグの選手に加えて元メジャーリーガーの大物選手や生きの良いマイナーリーガーを集めているだけに、どのチームも侮れない。1次リーグで勢いに乗ったチームが、そのまま駆け上がる可能性が高いだろう。

 日本代表を率いる稲葉篤紀監督も、そうしたことを十分に考えていることだろう。
 それは、選出された侍ジャパンのメンバーからも伝わってくる。
 一言で言えば、実績のある実力者よりも、今シーズンのプロ野球で目覚ましい活躍を続けている「勢いのある選手」を積極的に登用している。
 それは代表24人中、メンバー入りが初めてという選手が7人いることに表れている。(※故障者の辞退によって最終メンバーはまだ確定していない)

 そのほとんどは、ピッチャー陣だ。
 青柳晃洋投手(27歳 阪神)
 岩崎優投手(29歳 阪神)
 森下暢仁投手(23歳 広島)
 栗林良吏投手(24歳 広島)
 平良海馬投手(21歳 西武)

 野手は
 梅野隆太郎捕手(30歳 阪神)
 栗原陵矢外野手(24歳 ソフトバンク)

 短期決戦で鍵を握るのは、調子のよい打者をいち早く見極めることと、抑えを任されるであろう初選出の若手投手の活躍の有無だ。
 抑えで実績があるのは、横浜の山崎康晃だが、ここ数年かつての輝きを失っている。それでもマウンドに上がった時の存在感は頼もしいばかりだが、今回は広島の栗林と西武の平良を起用することになるだろう。場合によっては、変則のサイドスロー・阪神の青柳も候補に入れるべきだろう。
 この初選手の3人が大車輪の活躍を見せた時、侍ジャパンは勢いに乗って安定した戦いを繰り広げることになるだろう。

 先発投手陣には実力者の田中将大(32歳 楽天)と菅野智之(31歳 巨人)がいるが、相手にも研究され、むしろ厳しい投球を余儀なくされるような気がする。もちろんそれなりにゲームを作ってくれるだろうが、チームに勢いをもたらす存在は、オリックスの山本由伸(22歳)や23歳の森下だろう。

 若さには、躍動と破綻が潜んでいるが、チーム最年少の村上宗隆(21歳 ヤクルト)と同じ21歳の平良が臆することなく活躍すれば、それはそのままチーム全体の原動力になるはずだ。

 東京五輪は、村上と平良に期待したい!

青島 健太 Aoshima Kenta

昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテナで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。

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