【令和の断面】vol.150「スポーツの出番だ」

令和の断面


「スポーツの出番だ」

 先日、青山界隈に用があったので、ついでにヤクルトグッズを買おうと思って神宮球場の近くにあるスワローズショップを訪ねた。青山通りからスタジアム通りに入ってすぐ左側にあるはずのショップの前まで行くと、あるはずのお店にシャッターが下りている。おまけに「テナント募集」の張り紙が……。

 ヤクルトはセ・リーグを2年連続で制し、先のWBCでも村上宗隆、山田哲人、中村悠平、高橋奎二と4人の選手を送り込み、2軍の城石憲之コーチもスタッフとして栗山英樹監督に呼ばれている。5人のヤクルト勢が活躍しているにもかかわらず、ヤクルトショップが閉鎖されている???

 しかも開幕前のみんながワクワクしている時期に、買いたいグッズが手に入らない。なんともったいないことを……。
 こんな時になにをやっているんだ?

 そう思って、暗い気持ちで通りの反対側を見ると、あった!!!(笑)
「ヤクルトショップ」と大きな看板が出ている。
 知らない間にショップが向かい側に移転していたのだ。

 早速店内に入ると、広い、広い!
 かつてはワンフロア―だった売り場が2階まで伸び、それぞれのフロアーもかつての2倍くらいある。一気に売り場を拡張したのだ(笑)。
 そうだよ。これだよ。
 そう思いながら店内をぐるぐると見て回って、紺色のパーカーを買った。
 平日の午後にもかかわらず、お客さんは結構いて、半分以上が女性だったのに驚いた。これもきっとWBC効果なのだろう。

 こんなタイミングを逃すはずがない。
 ヤクルト球団のみなさん、とりわけ営業部のみなさん、「なにをやっているんだ」と疑って申し訳ありませんでした(笑)。

 見事に優勝を果たした侍ジャパンだが、そのグッズもほとんどがあっと言う間に売れたという。スポーツ熱が高まることは、本当に良いことだと思う。

 3年に渡って続いたコロナとの戦いも少しずつ光が見えてきた。今月に入ってマスクの着用も個人の判断に委ねられるようになった。まだまだ予断は許されないが、社会全体がウイズコロナ、ポストコロナに向かって動き出していることが実感できる。春の甲子園も声を出しての応援が叶うようになった。
 コロナ以前の状況に戻りつつある。
 もちろんまだまだ多くの人がマスクをして感染予防に努めているが、これも仕方のないことだと思う。

 ただ、私はこう思っている。
 これからの状況を少しずつ改善していくのがスポーツのチカラであり役割だと。
 スポーツをするのも見るのも、多くの人がマスクをしないようになる。
 そうした様子を多くの人がテレビや現場で見て、心配や不安を抱かないようになっていく。
 そうやって、スポーツが人々にかつての日常を届けることに一役買う。
 スポーツが媒体となって、コロナとの良き関係を構築していくのだ。
 スポーツが社会の中で大事な機能を果たす。
 これは以前から言っていることだが、ついにスポーツの出番が来たのだ。
 さあ、みんなで「エンジョイ スポーツ」といきましょう。

青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
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