【令和の断面】vol.155「新型コロナウイルス2類から5類への心構え」

令和の断面


「新型コロナウイルス2類から5類への心構え」

 3年にわたる新型コロナウイルスとの闘いにひとつの区切りがついた。
 これまで新型コロナウイルスは感染症上の「2類」に位置付けられていたが、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられた。
 とは言え、このウイルスがすぐに姿を消すわけではない。今まで通り十分に感染に気を付けなければいけないことに変わりはないが、これで私たちの生活も少しずつ元のペースに戻っていくことになるだろう。※ワクチンはまだ無料で受けられる(23年度)

 感染者は7日間、濃厚接触者も5日間の待機を求められていたが、これからは個人の判断に任されることになる(感染者は、5日間、外出を控えることを推奨)。
 また飲食店などに求められていた感染対策も、ガイドラインが廃止され、個人や事業者の判断に委ねられることになる。
 いままでどこの店にもあったアクリル板やビニールシートが不要になるのだ。

 早速街に飛び出していくと、何だかすっきりした気分になる。
 タクシーに乗れば、運転手との間にあったビニールの仕切りがなくなり、会計の際に運転手さんの顔もよく見えるようになった。
 飲食店の客同士の仕切りは一斉になくなった。
 一緒に行った仲間同士でもアクリル板で仕切られて、思うように会話ができなかったが、そうしたものが撤去されると、テーブルを囲む仲間の顔もよく見えて、それだけでも楽しい気分になる。これまでは、本当に不自由な我慢を強いられてきたのだ。

 もちろん感染予防のためにマスクをすることも有効だし、人とのディスタンスを意識することも大切だ。しかし、社会全体に感染予防対策が施され行動が制限された日々から解放されることは、長く続いた閉塞感を吹き飛ばすことになるだろう。

 「2類」から「5類」への移行。
 その変化(恩恵)を一番享受して欲しいのが、小中学生の子どもたちだ。
 「黙食」という言葉が象徴するように、給食の際にも会話を控え、黙って食事をする。
 こんな食事が楽しいはずがない。
 学校ではつねにマスクが義務付けられ、マスクをしていない友達の顔を見ていないというのだから、本当に辛い3年間だった。
 給食も授業も、すぐにワイワイガヤガヤという訳にはいかないかもしれないが、一日でも早く「黙食」やマスクを忘れて、楽しい学校生活を送って欲しいものだ。

 いままで毎日発表されていた感染者数も、週に1回ほどになるらしい。テレビをつけると夕方から夜のニュースで「今日の感染者数は、東京都で○○人、重傷者数は〇人」などと報じられていたが、あれがなくなるだけでも気分的にかなり解放される気がする。

 しかし、これからの「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」の時こそ、私たちの衛生意識や社会性が試されることになるだろう。「ちょっと具合が悪いな」と感じたら、自分の判断で通院したり、待機期間を取ったりする。
 「5類」になったことで医療費も自己負担になるが、コロナが疑わしい時に、私たちがどういう行動をとるかということにこれからの感染動向が左右されることになる。

 「このくらいは大丈夫」という甘い判断が、感染を広げる可能性がある。
 体調が微妙な時には、無理をせず慎重な行動を選択する。
 その大事さを学んだのが、この3年間の日々だったのだと思う。
 自分の体調をしっかり管理しながら、自由な日常を取り戻していく。
 コロナと上手に付き合う新しいライフスタイルを、みんなでつくっていくのだ。

青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
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