【令和の断面】vol.185「大谷翔平の躍進はさらに続く」

令和の断面

 「天文学的数字」とは、この時のための表現だろう。
 大リーグ、エンゼルスからドジャースへの移籍(フリーエージェント)が決まった大谷翔平選手の年俸が10年総額7億ドル(約1015億円)と報じられた。
 大リーグの公式サイトは、スポーツ史上最高額と紹介している。

 エンゼルスの同僚だったマイク・トラウトの契約は、12年総額4億2650万ドル(約618億円)、サッカーのリオネル・メッシがバルセロナは、バルセロナと総額6億7400万ドル(約977億円)を結んできたが、大谷のそれは2人を一気に超えるものだった。

 ドジャースとの契約で印象に残るのは、大谷の争奪戦が繰り広げられたウィンターミーティングでドジャースのデーブ・ロバーツ監督が大谷に面会したことを満面の笑みをもって語ったことだった。
 契約が成立するまでは、そんなことは言わないのがルールだ。
 もし破談に終わった時は、お互いに気まずいものが残る。
 それをあえてロバーツ監督が口にしたのは、大谷との契約成立に確信があり、その喜びを抑えきれなかったのだろう(笑)。
 それほど大谷の加入をロバーツ監督もドジャースも待ち望んでいたのだ。

 今シーズンの途中に右肘の手術の踏み切った大谷だが、来季以降の活躍の条件は着々と整っている。
 まず何よりエンゼルス(アナハイム)もドジャース(ロサンゼルス)もカリフォルニア州を本境地としており、気候や生活環境が大きく変わることはない。
 両チームは距離にして50キロ。エンゼルスのファンもこれからも大谷を見続けることができるだろう。

 また大谷の肘の手術を執刀した医師が、ドジャースのチームドクターであることも大谷には大きな支えとなるはずだ。

 加えてロバーツ監督は、沖縄県那覇市生まれで母親は日本人である。
 親日家であることは言うまでもない。
 現役時代は、俊足好打の外野手で、監督として率いるドジャースでもカルフォルニアらしい開放的で攻撃的な野球を展開している。投打で大谷をフル活用することだろう。

 すべての面で、ドジャースは大谷にぴったりの球団と言える。

 大谷は、ドジャース入団にあたり自身のSNSでこう言っている。

 「現役生活最後の日まで。ドジャースのためだけでなく、野球界のために努力し続けたいと思います」

 そう、彼の頭の中には自分と所属チームのことだけでなく、つねに野球界の将来が気になっているのだ。
 だから日本中の小学校にグローブを届けたりしている。

 彼の評価は野球の技術だけではない。
 大谷の二刀流は、選手と世界に野球を広げる伝道師の役でもあるのだ。

 だからいくら大金を貰おうが、彼がやろうとしていることは変わらない。

 さあ、今世紀最高のヒーローよ。
 世界中に野球の魅力を存分に魅せてくれ!!!

青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
バックナンバーはこちら >>

関連記事