【令和の断面】vol.189「日本スポーツ会議2024」

令和の断面

 JSOS(日本・スポーツ・オリンピック・スクエア)岸清一メモリアルルームには、朝から大勢のスポーツ関係者が集まった。
 行われたのは「日本スポーツ会議2024」。

 まず挨拶(基調講演)に立ったのは、日本スポーツ政策推進機構の遠藤利明衆議院議員。
 近年の日本のアスリートの活躍に賛辞を贈ると共に、政策推進機構の観点からいくつかの課題が挙げられた。

 ・スポーツ界を支える財源の問題
 ・有能な指導者の確保と育成
 ・e スポーツのこれから

 ひとつの解決策として「toto」の有効活用を訴え、これをさらに発展的に広げていくことによって、「観る」「する」「支える」のスポーツの輪を全国的に広げていくことを提唱した。
 また少子化や高齢化とも関連付けて、スポーツ医学の知見をもっとスポーツ界で活用していくことの重要性を訴えた。

 次に登壇したのは室伏広治スポーツ庁長官。
 室伏長官が掲げた目標は、現行のスポーツ実施率「52.3%」(1週間に1回以上スポーツをする人の割合)を「70%」にまで引き上げたいというもの。
 またそこで紹介された興味深いデータは、どんなレベルのスポーツであっても、それを応援する人の「幸福感」は増大するということだった。

 競技者でありながら研究者でもある室伏長官は、さまざまな研究とそのエビデンスに興味を持ち、そうした研究成果を基にスポーツ政策を考えている。
 この日は自身が進めている研究も報告された。

 人の体力は何歳から低下するのか?
 室伏長官の研究によると、「49.1歳」から私たちの体力はガクッと低下するそうだ。

 このエビデンスを活用すれば、50歳前後に体力を維持するスポーツやトレーニングを奨励することで、私たちの老化を遅らせることができる。
 元気な高齢者が増えることは、労働人口の確保や医療費の削減につながる重要な国策にもなってくる。

 また子どもたちの教育環境にも触れ、子どもにとっての学びの場は「学校」「社会」「家庭」のバランスの中にあり、学校に依存しすぎる現状を改善していく必要を訴えた。

 今回が2回目となった「日本スポーツ会議2024」は、スポーツによる社会の発展や課題解決にむけた議論を進め、スポーツの価値を最大限に活用しようとする会議体だ。

 そのテーマは、私がスポーツライターとして、また国会議員として活動する方向性とまったく同じだ。
 スポーツの価値を高めて、その可能性をもっともっと社会の中で機能させていく。
 「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」の時代にあって、スポーツに求められる役割は、さらに高まっていく。

 このコラムで何度も言っているが、いよいよスポーツの出番だ。

 年頭から初心を思い出させてくれる有意義な時間だった。

青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
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