千葉ロッテマリーンズから「ポスティング」でのメジャー挑戦を希望していた佐々木朗希投手の移籍先がロサンゼルス・ドジャースに決まった。
25歳ルール(25歳以下の選手はマイナー契約しか結べない)が適用されて、契約金は650万ドル(日本円で約10億1000万円)に抑えられたが、メジャー移籍を目指してきた佐々木にとっては、念願が叶ってやっとその扉が開いた。
佐々木の獲得をめぐっては、多くの球団が関心を寄せる中、最終的にはドジャースとパドレス、マリナーズなどに絞られたと報道されていた。
その中で佐々木は、ドジャースを選択した。
この決断については、賛否両論が湧き起こっている。
大谷翔平投手と山本由伸投手がいるドジャースに加入しても日本人ばかりで面白くない。オリオールズを選んだ菅野智之投手(巨人)やフィリーズに加入する青柳晃洋投手(阪神)のように、佐々木にも独自の道を歩んで欲しかったという野球ファンの思いだろう。
その一方で、日本代表の投手たちがドジャースに集結し、これでますますドジャースの躍進が楽しみになったという声もある。佐々木がメジャーで活躍できるかどうかはまだ分からないが、これで日本におけるドジャースの人気が開幕前からさらに高まることは確かだろう。
筆者は、若い佐々木朗希投手(23歳)にとって、結果的にはこれがベストの選択だったと思っている。
理由は次の一点に絞られる。
言葉や習慣の違いがある海外での活動では、文化の違いからくるストレスをいかに軽減してプレーに専念できる環境を作れるかがカギとなる。
その点、大谷と山本が活躍するドジャースなら何の心配もなくプレーすることができる。大谷と山本がここまでの彼らの経験を伝授してくれることだろう。これが佐々木にとっては、ストレスの解消はもちろん、現地に慣れるまでに要する時間を大幅に節約できることになる。
そして、これは私の持論なのだが、「海外挑戦は結婚してから行った方がいい」という条件を独身の佐々木は満たさなかったが、大谷や山本と一緒にプレーすることでこの要素もかなりカバーできることになるだろう。
「結婚」を成功の条件に挙げるのは、食事の問題だ。家に帰れば話し相手がいて、しかも食事の用意もしてくれる。
結婚していれば、自分で作らなくて済む。佐々木にこの点の心配は残る。
しかしドジャースなら、遠征に出掛けても大谷や山本と一緒に日本料理店など、彼らの行きつけの店を訪れることもできるだろう。
アスリートにとって食事の問題は、言うまでもなく極めて重要な要素だ。
パドレスは佐々木に1000万ドル(約15億円)を超える額を提示していたという。金額的には、もっと魅力的な球団があったにもかかわらず(しかもパドレスにもダルビッシュと松井祐樹がいる)、佐々木がドジャースを選んだ理由は、東北の先輩大谷とパリーグで投げ合ってきた山本とのつながりが強かったからだろう。
佐々木の選択は、ドジャースを選んだというより、大谷&山本の存在を頼りにしたということで、これはこれで正解だと思う。
さあ、球春到来。
大活躍する佐々木朗希を楽しみに待とう。
令和の断面