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Vol.29 子どものチーム選びはその後の人生を決める 見極めたい重要なポイント

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    ■子どもの笑顔が全てを物語る判断基準 

     取材で様々な学童野球チームを見てきた中で、そして野球少年の親として現場に立つ中で、痛感していることがある。それは、チーム選びがいかに子どもの野球人生を左右するかということだ。同じ野球をしていても、チームによって子どもたちの表情は全く違う。生き生きと練習に取り組む子どもたちがいる一方で、重い足取りでグラウンドに向かう子どもたちもいる。チーム選びの段階で、保護者がしっかりと見極めることができれば、子どもたちの未来は大きく変わってくる。

     「このチームなら、安心して子どもを預けられる」

     チーム選びで重要なのは、複数のチームを比較しながら見ることだと思う。指導者がどのような人柄なのかを見極めることや、同じチームでも普段の練習や試合の様子を見ることも勧めたい。体験会という名のものは、普段よりもよく見せたいと“背伸び”をしている可能性もある。技術指導のレベルよりも、子どもたちにどのような言葉をかけているかに注目してほしい。

     感情的に叱るのではなく、なぜそうなったのかを一緒に考えてくれる指導者なら信頼できる。体験会ではない別日に練習を見た際には確認したいポイント。また、子どもたち一人ひとりの名前を呼び、個性を理解しようとしている姿勢も重要な判断材料となる。指導者の人間性が、チーム全体の雰囲気を決めていくと思う。

     優良なチームは、明確で一貫した方針を持っている。体験練習に参加する際は、監督やチーム代表の目が高学年から低学年まで行き届いているかどうかは確認したいところ。指導内容に矛盾があると、子どもたちが混乱してしまう。また、チームの目標や方針について保護者へ明確に説明してくれるチームは信頼できる。「楽しく野球をする」「礼儀を重んじる」「全員で成長する」など、そのチームが何を大切にしているかが明確になっていれば、子どもたちも安心して取り組むことができる。

     チーム選びでは、保護者の負担についても事前にしっかりと確認しておきたい。2023年の全軟連ガイドラインでは保護者参加が任意とされたが、チームによって現実は大きく異なる。当番制の有無、遠征時の同行義務、費用負担の詳細など、具体的な内容を入団前に確認することが重要だ。また、保護者同士のトラブルが起きにくい環境かどうかも見極めのポイントとなる。保護者の役割が明確に定義され、過度な負担がかからないチームを選ぶことで、長期間安心して子どもを通わせることができる。

     最終的な判断基準は、子どもたちの表情だ。練習中の子どもたちが本当に楽しそうにしているか、伸び伸びとプレーしているかを観察してほしい。体験練習後の子どもの感想を聞き、「また行きたい」と言ってくれるようなチームなら、きっと良い環境で野球を続けていけるだろう。無理やり連れて行くのではなく、子ども自身の気持ちが動く時を待つなど、プレーする選手の心を最優先に考えることが、最良のチーム選びにつながっていくと思う。

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