8月29日、埼玉県草加市で行われた大相撲の夏巡業「草加場所」を観に行った。
3千人を収容する会場は超満員。
本場所さながらに満員御礼の垂れ幕も下がっていた。
午前中は、初っ切りや相撲甚句など、伝統的な相撲文化を披露し、午後からは取り組みが行われた。
隣に座ったご婦人たちは、大の相撲ファンで、目の前で贔屓の力士たちの相撲を観て大興奮だった。
身体の大きさと醸し出すオーラで存在感を発揮していたのは、やはり横綱の大の里。2メートル近い身長(192センチ)に加えて184キロを誇る巨漢。そばで見るだけで圧倒される体格。土俵入りから大歓声を浴び、霧島との結びの一番でも大いに盛り上がった。
この他、大関に復帰した安青錦や、関脇熱海富士、隣の越谷市出身の阿炎などに惜しみない拍手が送られた。
小学1年生から草加市で育った私は、学校の休み時間にはよく相撲を取って遊んでいた。まさに巨人・大鵬・卵焼きの世代である。
もちろん大鵬は好きだったが、私がいつも応援していたのは、小兵や細身で体重のない力士だった。
よく覚えているのは、陸奥嵐や藤の川、貴乃花(若貴の父)といった力士たちだ。
彼らの相撲は、たとえ土俵際まで追い詰められても目が離せない。最後の最後で起死回生のうっちゃりを見せたりするからだ。
教室や廊下で相撲を取って遊んでいた少年時代。
あれから50年以上経つが、今回の草加場所で私が密かに注目していたのは、六代目「藤の川」の四股名をいただく藤の川だった。
先場所でも両横綱、大関を撃破し、抜群の存在感を見せていたからだ。
身長177センチ、体重123キロの小兵力士。
それでも相撲のスケールは大きく、決して立ち合いで変わるようなことはない。とにかく真っ向から当たっていく押し相撲。だから観ていていつでも気持ちがいい。この日も気風のよい相撲で場内を沸かせていた。
その藤の川について、嬉しいニュースが飛び込んできた。
9月13日に初日を迎える秋場所(両国国技館)の新番付が発表され、藤の川は小結を飛び越えて一気に関脇に昇進したのだ。
初土俵から22場所というスピード出世。
おまけに京都出身の新三役は、なんと198年ぶりの快挙とのこと。
藤の川は、まだ21歳。
先場所も8勝7敗と勝ち越してはいるものの、体格差で圧倒されることもある。
しかし、この力士は負けん気の塊、まだまだ強くなるだろう。
新関脇になって「応援してくれる人も増える。期待に応えられるように頑張っていきたい」
秋場所は、何と言っても藤の川に注目だ。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。