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Vol.55 森保一が示す「最高の失敗」とは 失敗から学ぶ選手たちへ

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    ■失敗の内容を見分ける力が、強いチームを作る

     W杯を戦ったサッカー日本代表の森保一監督が登壇したイベントに先日、お邪魔した。たくさんのトークテーマあるなかで“最高の失敗”について語る場面があった。「失敗は成功のもと」という言葉は誰もが知っている。だが、その先を問う必要があるということを。すべての失敗が同じ価値を持つわけではない。試合で失点した瞬間、それが「良い失敗」なのか、それとも「繰り返してはいけない失敗」なのか。その区別を選手自身ができるかどうかで、チームの強さは大きく変わる。

     試合での失敗。野球なら、ランナーがいる場面で守備が崩れて失点した。サッカーなら、攻撃に出ていた選手がカウンターを食らい、守備が間に合わず失点した。その瞬間、スコアボードには「失敗」と映る。だが、その失敗の背景を見る必要がある。

     例えば、攻撃を仕掛けて失点した場合。そこに戦術的な狙いがあったのか。「相手の隙をついて攻めてみよう」という目的があり、その結果カウンターを受けたのなら、それは「良い失敗」だ。チームは何かを試し、失敗から学ぶ。次は同じ状況でもっと気をつけようと考える。

     しかし、単に気を抜いていて、相手の攻撃を見逃して失点した。そういう失敗は「悪い失敗」だ。何も考えていないから、何も学べない。同じ失敗を繰り返すだけになる。

     森保監督の考え方はここにある。失敗そのものよりも、その失敗がなぜ起きたのか、その中に目的があったのか、そこから何を学ぶのか。その質問に答えられるかどうかが大切だということだ。「目的を持って行動した結果の失敗なら、それはすべてチャレンジであり、成功である」。監督はそう言う。

     これは試合での勝敗を軽視しているわけではない。むしろ逆だ。目の前の試合に絶対に勝ちたいという気持ちと、その過程で選手が「どうして失敗したのか」と考える力を同時に育てたいという気持ちの両方を持っているということだ。負けられない試合だからこそ、失敗の内容を見分ける。その厳しさがある。

     スポーツをしていれば、必ず失敗する。試合で失点もする。その時に「次だ」と前に進むことも大事だ。でも、ときどき立ち止まって、その失敗を調べてほしい。何を考えていたのか。目的があったのか。そこから何が学べるのか。その問いに答えられるようになれば、失敗はもう「失敗」ではなく、成長への道になる。

     森保監督が示そうとしているのは、そういう選手たちの姿だ。失敗を恐れず、目的を持って挑戦をした失敗は価値がある。その失敗から何を学ぶかを考える選手たち。そういう力を持った選手たちが集まったとき、チームは本当に強くなる。

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