埼玉県内の駅で街頭活動をしていると、ひとりの男性から声を掛けられた。
その方はスポーツがとても好きな方で、最初はいろいろとスポーツの話をしていたのだが、突然バッグからボールを出して「これ、何のボールか分かりますか?」と尋ねてきたのだ。
それはソフトボール大の大きさで、蕎麦くらいの太さの繊維で編み込まれたボールだった。
「知りません」と言いたいところだったが、実は私がそのボールをよく知っていたので、彼は逆に驚いてしまった。
それは「セパタクロー」のボールだった。
東南アジアで盛んなスポーツでタイやマレーシア、インドネシアなどでは国民的スポーツと言っていいほどの人気だ。
きっとその人は、セパタクローのボールを見せてもほとんどの人が知らないので、事あるごとにセパタクローを宣伝しているのだと思う。
「2002年釜山アジア大会でも取材しました。当時は寺本進選手などが活躍していて、テレビなどでもずいぶん取り上げられましたから」
私がそう切り出すと、そこからしばらくはセパタクロー談議が続いた。
まさかその人も、セパタクローをよく知る人間にそんなところで(選挙活動中)会うとは思っていなかっただろう。
今、寺本進さんは協会の要職についていると教えてもらったが、サッカーから転向した寺本選手たちが、日本のセパタクローを牽引してきたのだ。
アジア大会では、五輪競技に加えてアジアならではの競技が行われる。
インドなどで大変盛んな「カバディー」なども取材したが、来年日本で開かれる第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)では、「カバディー」に加えて「武術太極拳(東アジア)」「クラッシュ(中央アジア)」「柔術(西アジア)」などが行われ、もちろん「セパタクロー(東南アジア)」もそこに加わる。
そう、そして今回のアジア大会では、大きな注目競技になる可能性がある「クリケット」も開催されることになっている。
競技人口はサッカーに次いで世界2位の数を誇りながら、これまで五輪にもアジア大会にも採用されていなかったクリケットが、いよいよ大規模な国際大会に加わることになったのだ。
今回のアジア大会に続いて2028年ロサンゼルス五輪での採用も決まっている。
バドミントンほどのコートで、足を使ってバレーボールのようにボールを打ち合うセパタクロー。上がったトスをサッカーのオーバヘッドキックのようにして相手コートに打ち返す。すごくアクロバティックな競技だ。
クリケットは、楕円形のグラウンドの中央を使って360度どこに打ち返してもいい野球に似た競技だ。ボーラー(投手)は、走ってきて勢いをつけて投球し、バッターはワンバウンドのボールを打つ。打球がノーバウンドでキャッチャされるとアウトで、そのバッターは交代となる。アウトになるまでいつまででも打っていていいのが野球との違いだ。
愛知・名古屋でのアジア大会は、2026年9月19日~10月4日で開催される。
テーマは「IMGINE ONE ASIA ここでひとつに」
まだ見たことのない競技を見るのもアジア大会の楽しみ方。
是非、注目していただきたい。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。