このコラムで何度も苦言を呈してきた、いや応援のメッセージを送り続けてきた藤浪晋太郎投手が、7月18日に入団会見を行い横浜DeNAベイスターズのユニフォームを着ることになった。
阪神入団(13年)以来、当初はエース級の活躍を続けていた藤浪だが、2017年ごろから急に勝てなくなった。一度制球が乱れると、そこからどんどん崩れてしまう。技術的な問題よりも、精神的なことが原因ではないかとも心配された。
いずれにしても本来の力を発揮できない日々が続いた。
そこで彼の選んだ道がメジャーリーグへの挑戦だった。
この時も、激励の文章を書いた。
細かなサインやコントロールを求められないメジャーリーグで、ワイルドに暴れて欲しい。彼にはメジャーリーグが合っている。そんな主旨で、この移籍に賛辞を送ったのだ。
ところがメジャーリーグに行っても、状況は変わらなかった。
1年目こそアスレチックスで5勝8敗(34試合)の成績を残したが、防御率は8.57と芳しくない。そこで早くも7月にオリオールズにトレードとなる。
オリオールズに移ってからは2勝0敗。
2年目の24年は、メッツのマイナーで1勝2敗(33試合)。
そして今シーズンもマリナーズのマイナーで2勝1敗(21試合)とメジャー昇格は果たせなかった。
そこで再び選んだ道が日本への復帰だった。
身長197センチ、31歳。ここまで日米通算64勝62敗、防御率3.69。
恵まれた才能の持ち主とは言え、彼にとってはこれがラストチャンスだろう。
ここで結果を出さなければ、もう行くところがない。
いや、アジア各国や中南米、ヨーロッパなど、野球を続けられる場所はまだまだあるだろうが、日本でブレークしなければ意味がない。雪辱は果たせない。
今回、彼にとって大きなアドバンテージは横浜の監督が投手出身の三浦大輔監督だということだ。
誰よりも投手心理を理解し、技術的な引き出しもたくさん持っている人だ。
温厚な人柄も藤浪再生には、もってこいの指導者。
きっと的確なアドバイスをもらえることだろう。
阪神を追いかけて逆転優勝を狙えるチーム状況も、藤浪への期待が高まって最高の舞台が整っている。
ここでやらなければ、どこでやる!という絶好の環境だ。
会見で藤浪はこう語っている。
「周りの方から『それだけ能力を持ってるのにもったいないな』と、よく言っていただくんですけど、自分自身が一番もったいないと思ってるので、最大限発揮できるように、いろいろ勉強して取り組んでいきたい」
そう、私も「もったいなさすぎる」と言い続けている一人だ。
おそらく甲子園での阪神戦では、相当なブーイングを浴びることだろう。
しかし、それも阪神ファンからの激励の合図だ。
そう思って、優勝争いをする阪神を抑える。
それが何よりも藤浪を心配していた阪神ファンへの恩返しになるはずだ。
藤浪復活。
それは野球ファンがみんな望んでいることなのだ。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。