野球ファンには、たまらない季節がやってきた。
日米のレギュラーシーズンが終わって、いよいよポストシーズンに突入。
アメリカでは、一足先に熱戦が始まっている。
大谷翔平が所属するロサンゼルス・ドジャースはシンシナティー・レッズとのワイルドカードシリーズを勝って、フィラデルフィア・フィリーズとの地区シリーズを戦っている。
鈴木誠也、今永昇太のいるシカゴ・カブスも地区シリーズに勝ち上がっている。
有難いのは、日本人が活躍する注目のカードをNHK・BSや民放地上波がほとんど放送してくれることだ。大谷の試合は、すべてテレビで観ることができる。
もちろん仕事がある会社員や学校がある学生は、午前中に放送される試合を生で観ることはできないが、それでも録画で楽しんでいる人もたくさんいるはずだ。
こうした野球中継がファンを拡大し、野球をする子どもたちに「頑張って!」とエールを送っている。テレビメディアがそのスポーツを報じることで、誰もが楽しめる「娯楽」と「夢」や「希望」を届けているのだ。
ところがこうしたスポーツ中継のあり方に大きな変化が起ころうとしている。
来春に予定されているWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がテレビでは見られなくなりそうなのだ。
このニュースはもうすでに大きく報道されているが、アメリカのネット配信大手「Netflix」がWBCの放送権を買い、現状、テレビでは見られないことに決まったのだ。
もちろん「Netflix」と契約すれば日本代表の試合を楽しむことができるのだが、問題は、こうした国民的関心事が有料でなければ見られないということで良いのかどうかということだ。
この問題は、すでにいくつかの国で議論されてきた。
先駆的な取り組みをしているのは英国だ。
英国では、以下のスポーツ大会の無料放送が法律で決まっている。
・オリンピック
・パラリンピック
・サッカーワールドカップ決勝トーナメント
・競馬(ダービー)
・ウィンブルドンテニス決勝
・ラグビーワールドカップ決勝
こうしたスポーツをテレビで視聴する権利を「ユニバーサルアクセス権」と位置づけ、国民にはこうした国民的関心事を楽しむ権利があると規定したのだ。
「ユニバ―サルアクセス権」を認めているのは、英国以外ではフランスやドイツ、アジアでは韓国も大きな大会を無料で見ることができる。
一方でアメリカは、こうした国際大会や人気スポーツをまったく保護することなく自由な競争の中で無料か有料かが決まる方式を取っている。
これまでは日本の放送局も頑張って、何とか中継権を買い続けてきたが、今回のWBCは放送権料が高くて買うことができなかったというのだ。
果たして「Netflix」がその権利を得ることになる。
人気スポーツの試合は、単なるエンターテイメントではなく、その社会の大切な文化とも言える。
こうした文化をどう守っていくか。
そのために無料の中継を維持していくのか、経済の原理に任せるのか。
日本もついにその議論を迫られているのだ。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。