いよいよ東京2025デフリンピックが始まる。
11月15日から12日間、東京、静岡、福島を舞台に聴覚障害者の世界大会が日本ではじめて開催される。
参加国(地域)は、70~80国・地域。
参加人数は、選手2412名を含む約3000人が参加する。
実施競技は、陸上、バドミントン、バスケットボール、ビーチバレーボール、ボウリング、自転車、サッカー、ゴルフ、ハンドボール、柔道、空手、オリエンテーリング、射撃、水泳、卓球、テコンドー、テニス、バレーボール、レスリング等。そして日本選手はすべての競技に出場する。
日本選手団は、395名(選手268名)。
団長は、一般社団法人全日本ろうあ連盟スポーツ委員会・太田陽介委員長が務め、旗手は松元卓巳選手(サッカー)と小倉涼選手(空手女子)が担当する。
先日、選手団の壮行会にも行ってきたが、その際、小倉選手は次の様にこの大会の意義を語っていた。
「私たちの活躍が共生社会の実現につながることを願っています」
そう、もちろん選手たちは勝利を目指して最高の戦いを挑んでいく。
参加選手は、みんなメダル獲得を目指していることだろう。
その一方で、この大会が開催される意義は、聴覚に障害のある方をはじめ、さまざまな障害を抱える人たちへの理解が深まり、それぞれの方の個性や多様性をお互いに認め合い、すべての人が生きがいを持って活躍できる共生社会を実現することにある。
実は、私も障害者の方に大きな影響を受けている。
春日部高校時代のことだ。
野球で関東大会に出場した時、泊まっていた旅館の前で全盲の方と話す機会があった。
試合前夜、みんなで素振りをしていると「何をしているんだ」と怒られたのだ。そこでキャプテンだった私が、試合を控え素振りをしていると説明すると、その方は喜んで「しっかり練習しなさい」と激励してくれたのだ。
実は、その方も盲人野球をやっていた。
盲人の方の野球は、野球より大きなボールを使い、中に鈴のようなものが入っていて、これを投手は転がして投げる。
打者はその音を聞いて、自分に近づいてきた気配を感じて打つのだ。
守っている野手も転がってくる打球の音を聞いて、これをキャッチできれば「アウト」となる。
高校生だった私は、この方との出会いと盲人野球に感銘を受けて、自分の野球ももっと究めなければと思ったのだ。
私たちは、出会う人々から様々な影響を受ける。
それは障害のあるなしに関係ない。
開催されるデフリンピックは、その多様性の素晴らしさを知る機会でもあるのだ。
世界中から集まる選手たちが、伸び伸びとそれぞれの個性を発揮して、共生社会の実現につながる大会になることを願って止まない。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。