推奨されるグレー色のキャップ(ニューエラ提供)
推奨されるグレー色のキャップ(ニューエラ提供)
■「かぶるだけ」じゃない…帽子の話
今年の春は、例年より気温の上がり方が早い。4月なのに夏日、30度超の真夏日。グラウンドでもコートでも、フィールドでも、屋外で体を動かす人にとって、今年の春は少し違う。お気に入りの帽子を一つ、今すぐかぶってほしい。帽子をかぶるだけで、頭部の表面温度は大幅に下がるからだ。
米国発のヘッドウェアブランド「ニューエラ」が武蔵野美術大学と行った共同実験で明らかになった。頭部は血液循環量が多く、直射日光にさらされると体全体の体温上昇に直結しやすい。だからこそ、頭を守ることが熱中症予防の基本になる。さらに、こまめに脱いで振るだけで表面温度が10℃以上下がることも実証されている。これが「5秒リセット」術だ。最も熱がこもりやすい黒い帽子でも、10回扇ぐだけで白い帽子とほぼ同等の温度まで戻る。
屋外で体を動かす人なら、誰でも試合中や練習の合間に帽子を脱ぐ瞬間がある。サッカーでも、テニスでも、陸上でも。あの何気ない動作に、実は科学的な根拠があった。
今年の春は気温の上がり方が早い。2026年3月の東京は夏日ゼロだったが、4月11日には早くも夏日を観測し、静岡市では30度超の真夏日を記録している。気象庁は東海以西で「10年に一度レベルの高温」を予測しており、GW頃には真夏日になる地域がさらに広がりそうだ。
こうした年は、体が暑さに追いつくまでに時間がかかる。人間の体には「暑熱順化」と呼ばれる適応プロセスがあり、繰り返し暑さにさらされることで発汗機能が高まっていく。今年はその準備期間が短いまま気温が上がってきた。だからこそ、早めの対策が効いてくる。
数字にも表れている。5〜6月の熱中症による救急搬送者数は、2021年の8,861人から2025年には19,843人へと4年で約2.2倍に増えた(総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況」年報)。年間搬送者数の約5人に1人が、真夏を迎える前に搬送されている。増加率1位は東京(+413%)、福島県では4年で約4倍。春の対策は、地域を問わず早めに始めるに越したことはない。
■色より、習慣を
帽子の色にも選び方がある。白は涼しいが紫外線を通しやすく、黒は紫外線に強いが熱がこもりやすい。グレーなどの淡色系が、熱と紫外線の両方をバランスよく防ぐ。
とはいえ、どんな色でもこまめに脱いで扇げばリセットできる。好きな色を選んでいい。
ニューエラはこの春、都内の保育園への帽子無償提供も始めた。子どもへの帽子着用は徹底される一方、引率する保育士自身は無防備なことが多い。身長120センチの子どもの高さの気温は大人より4〜7℃高く(サントリー食品インターナショナル・ウェザーマップ共同調査)、前かがみで寄り添う保育士も同じ環境にさらされやすい。現場で子どもたちと向き合う人たちにも、同じように涼しくいてほしい。そんな思いが、この取り組みには込められている。
春の対策は、難しく考えなくていい。好きな帽子をかぶって、暑いと感じたら脱いで振る。それだけで、今年の夏を気持ちよく迎える準備になる。グラウンドでも、コートでも、フィールドでも。
楢崎 豊(NARASAKI YUTAKA)
