「多くの選手を選べなかった」
6月に開幕するサッカーW杯に臨む日本代表を発表する森保一監督は、目を潤ませてそう切り出した。
「選べたのは26人。多くの選手を選べなかった。感情の部分で少しコントロールできないところが出てくるかな……」
22年のカタール大会後に日本代表に召集した選手は89人。
その中で今回選出した選手が26人。
63人が選ばれなかったことになる。
監督の仕事には、いろいろなことがあるが、もしかすると敗戦の責任を取ること以上に代表メンバーの選出は、辛いことかもしれない。
それが前述のコメントにもよく表れている。
ただ選んだ以上は、もうこの26人のメンバーでいくしかない。
南野拓実(モナコ)の不在も痛ければ、三笘薫(ブライトン)の離脱もチームにとっては想定外だ。守田英正(スポルディング)や町田浩樹(ホッフェンハイム)も落選組に回った。選びたくても選べない選手がたくさんいる。だから監督の仕事は辛いのだ。そのことは、競技を問わずスポーツを愛する人たちは、忘れてはいけないことだろう。
森保監督は、W杯に臨む思いを次のように述べている。
「W杯は特別な舞台ですけど、でも特別な舞台だから何をするというわけではなく、これまでやってきたプロセスがあって、その先にW杯がある。凡事徹底という言葉を選手やスタッフと何度も共有して、ここまできた。今できることをしっかりやって、最善の準備をして全力を出し切るということを1戦1戦、これまで通りやっていきたい」
メディアが欲しがる派手なコメントではないが、まったくその通りだと思う。
「凡事徹底」
やるべきことが徹底されず、そこにちょっとした隙があったり、油断があったりすると、勝負事はそこから一気に崩壊する。
プロ野球の名監督として知られた野村克也さんは、違うアングルからこんなことを言っている。
「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」
たまたまラッキーで勝つことはあっても、負ける時には負けるべくして負けるのだという意味の名言だ。
凡事を徹底して行うことの先に、不思議な勝ちが転がり込んでくることもある。
総合力で戦う日本にとっては、攻守におけるハードワークが「鍵」になるだろう。
森保監督は言った。
「(優勝という)目標に変わりはない。万全の準備で自信を持って、勇気をもって挑みたい」
そう、本番で一番大事なのは自信と勇気だ。
個人的には大学の後輩、塩貝健人(ウォルフスブルク)に期待している。その抜群のスピードを活かしてジョーカー(切り札)になるかもしれない。
さあ、あの熱狂の日々がやってくる。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
