令和の断面

vol.303 W杯メンバーが決まる

SHARE 
  • 連載一覧へ
     
    
     「多くの選手を選べなかった」
     6月に開幕するサッカーW杯に臨む日本代表を発表する森保一監督は、目を潤ませてそう切り出した。
     「選べたのは26人。多くの選手を選べなかった。感情の部分で少しコントロールできないところが出てくるかな……」
    
     22年のカタール大会後に日本代表に召集した選手は89人。
     その中で今回選出した選手が26人。
     63人が選ばれなかったことになる。
    
     監督の仕事には、いろいろなことがあるが、もしかすると敗戦の責任を取ること以上に代表メンバーの選出は、辛いことかもしれない。
     それが前述のコメントにもよく表れている。
    
     ただ選んだ以上は、もうこの26人のメンバーでいくしかない。
     南野拓実(モナコ)の不在も痛ければ、三笘薫(ブライトン)の離脱もチームにとっては想定外だ。守田英正(スポルディング)や町田浩樹(ホッフェンハイム)も落選組に回った。選びたくても選べない選手がたくさんいる。だから監督の仕事は辛いのだ。そのことは、競技を問わずスポーツを愛する人たちは、忘れてはいけないことだろう。
    
     森保監督は、W杯に臨む思いを次のように述べている。
    
     「W杯は特別な舞台ですけど、でも特別な舞台だから何をするというわけではなく、これまでやってきたプロセスがあって、その先にW杯がある。凡事徹底という言葉を選手やスタッフと何度も共有して、ここまできた。今できることをしっかりやって、最善の準備をして全力を出し切るということを1戦1戦、これまで通りやっていきたい」
    
     メディアが欲しがる派手なコメントではないが、まったくその通りだと思う。
    
     「凡事徹底」
     やるべきことが徹底されず、そこにちょっとした隙があったり、油断があったりすると、勝負事はそこから一気に崩壊する。
    
     プロ野球の名監督として知られた野村克也さんは、違うアングルからこんなことを言っている。
     「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」
    
     たまたまラッキーで勝つことはあっても、負ける時には負けるべくして負けるのだという意味の名言だ。
    
     凡事を徹底して行うことの先に、不思議な勝ちが転がり込んでくることもある。
     総合力で戦う日本にとっては、攻守におけるハードワークが「鍵」になるだろう。
    
     森保監督は言った。
     「(優勝という)目標に変わりはない。万全の準備で自信を持って、勇気をもって挑みたい」
     そう、本番で一番大事なのは自信と勇気だ。
    
     個人的には大学の後輩、塩貝健人(ウォルフスブルク)に期待している。その抜群のスピードを活かしてジョーカー(切り札)になるかもしれない。
    
     さあ、あの熱狂の日々がやってくる。
     
    

    関連記事