約6年にわたって書かせていただいてきたこのコラムも、今回が最終回となります。長い間、お読みいただいた方々には、心から感謝申し上げます。
「令和の断面」というスポーツ系のコラムにしては、少し硬いタイトルをつけさせていただいたのは、これが始まる時は、コロナ禍の真っ只中で、社会全体に大きな不安が漂っていたからです。その影響はスポーツの世界にも及び、さまざまなスポーツ大会が中止になったり、無観客で行われることになったりしました。
そればかりか、私たちの日常における余暇やちょっとした息抜きのようなことでも「密」を避けるという理由で控えなければならなくなりました。
マスクをして他者との接触をできるだけ避ける。
こんな社会がいったいこの先どうなっていくのか?
そのことをしっかり見つめて本来あるべき姿を求めていかなければならない。
そうした使命感のようなものが、このタイトルに込められた意味でした。
令和の時代に起こることをしっかり書き残していかなければならない。
その断面から見えることが何なのかをしっかり考えなければならない。
いずれも駄文や拙文だらけですが、それでも300回に及んで書かせていただいたことに「アスリート街」の関係各位にも改めて感謝申し上げます。
最悪(コロナ禍が続く)の場合、私たちの社会からスポーツが消えていくかもしれない。なぜならスポーツは、人と人との間に濃密な接点をつくり、競技をする人たちはもちろんそれを見る人や支える人たちでさえも、楽しさのあまり、喜びのあまり、そして悔しさのあまり、抱き合ったりするからです。
そうしたスポーツにおけるコミュニケーションがどんどん削がれていくことを心配し、大丈夫だろうかと嘆く原稿をずいぶん書いてきました。
しかし、私たちは「コロナ禍」をしっかり終息させて、新しい時代に向かうことができました。
私の杞憂が、単なる杞憂に終わったことを本当にうれしく思います。
しかし、コロナ禍が終わったかと思ったら、今度は世界中が戦争のモードに突入しています。
ロシアによるウクライナ侵攻。
中東におけるイスラエルとパレスチナの紛争。
アメリカとイランによるホルムズ海峡をめぐる戦い。
世界中がこうした紛争の影響を受け、各地でその対立が激化しています。
解決の糸口はどこにあるのか。
最終的には、当事者国の利害をどう整理して、妥協点をどう見出していくのかという交渉と外交に委ねるしかないのでしょうが、私はいよいよスポーツの出番だと思っています。たとえ敵対する国同士であってもスポーツというチャンネルを使えば民間レベルの交流をつくることができる。それで紛争が解決するなどということはもちろんないでしょうが、エスカレートする感情を緩和するチカラや作用はあると信じています。
スポーツは、紛争や戦争を前にして無力かもしれません。また感染症のパンデミックにも自粛を強いられます。
しかし、それでもスポーツにはスポーツにしかできないことがある。
それは病気を治す治療薬でなくても、人々を元気にするビタミン剤のように働く。そんなスポーツのチカラを私は信じています。
なぜならスポーツは、民主主義そのものだからです。
私はこれからもスポーツを愛し、応援し続けます。
読者のみなさま、どうかお元気で!
ありがとうございました。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
