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■NPBが若手選手に毎年開催する調査から浮き彫りになること
NPB12球団の若手選手約300人を対象に実施された2023年のセカンドキャリア調査で、引退後の生活に不安を感じている選手が約4割に上ることが明らかになっている。特に、高校卒業後すぐにプロ入りした選手が53.2%を占める中、社会経験の少なさが将来への不安を増幅させている可能性が高い。
調査によると、42.5%が引退後の進路を「考えていない」と回答。その一方で、セカンドキャリアとして「会社経営者」を希望する選手が20.1%でトップとなり、「高校野球の指導者」(13.4%)が続いた。しかし、これらの職種は専門知識や経験が必要であり、現役引退後すぐに移行できるものではない。
特に注目すべきは、平均年齢22.8歳という若さで、平均年俸1006万円という結果だ。一見、恵まれた環境に見えるが、プロ野球選手としてのキャリアは限られており、長期的な人生設計が必要不可欠である。
この状況を改善するために、球界全体や野球をはじめとしたスポーツに関わってきた会社単位での新たな支援体制の構築をしていければいいと考える。具体的には、現役選手がプレーに専念できる環境を維持しながら、特に高卒入団選手向けの社会人教育プログラムなどを実施し、引退後の選手を支援する専門機関の設立も検討してもいいのではないだろうか。
この機関で選手の適性診断から職業訓練、マナー講座や就職支援まで一貫したサポートを提供。野球界での経験を活かせるポストだけでなく、一般企業への就職支援や起業サポートなど、多様なキャリアパスを提示することが重要となる。
プロ野球選手としての経験は、貴重な財産だ。しかし、その後の人生も充実したものにするためには、現役時代からの計画的なキャリア支援が不可欠である。球界全体で取り組むべき課題として、選手のセカンドキャリア支援体制の確立を進めていってほしいと思う。