サッカーW杯の開幕がいよいよ開幕する。
日本代表は、どんな戦いを見せてくれるのか。
森保ジャパンの目標は「優勝」とかなり高い設定になっているが、今の日本代表なら「もしかすると…」という期待を持たせてくれるところに、大きな楽しみがある。
ここまで代表を牽引していた三笘薫(ブライトン)と南野拓実(モナコ)の出場が叶わないことは、チームにとって大きな痛手だが、これを乗り越える森保監督の考え方を知って、その戦いがますます楽しみになった。
森保監督が代表に選ばれなかった選手たちの心情を察して、辛い思いを吐露したことは以前の原稿に書いたが、指揮官である以上、いつまでもその感情に浸っている場合ではない。
三笘と南野の不在を監督は次のように言っている。
「誰が出ても機能するチームを目指してきました。他の選手の自覚がより高まり、異なる個性も加わってプラスの部分が出てくると、前向きに捉えています」
この考え方の背景には、こんな経験があるようだ。
かつてJ1広島の監督を務めていた時に、大事な試合にベテランを投入して逆転負けを喫する。それまでその選手が中心になって勝たせてくれていたので、ダメでも(負けても)納得できると思った。ところが代表監督になってからは、過去を見てダメになるより、未来を見てダメになった方がいいという思いが強くなったというのだ。
「だから今回、実力が同等と見た時は、今後力をつけたり、チームに化学反応を起こしたりする可能性がある選手を選ぼうと思っていました」
それは次のような人選に表れている。
22年カタール大会では、ドイツとスペインを破って世界を驚かせた日本代表。その時のメンバーは、26人中19人が初選出だった。この戦いを評価すれば、多くの選手が再選されてもおかしくない。しかし今回も26人中13人が初のW杯代表になっているのだ。
「過去の実績は大切ですが、それだけでメンバーを決めたくありませんでした」
どんなことでも、過去の実績に拘りたくなる。
しかし、森保監督は変化を恐れず、新しい化学反応に賭けているのだ。
だからこそ我々も日本代表にワクワクするのだと思う。
「世界のトップとの差はあります。でも確実にチーム力は上がっています。代表選手の大半が海外でプレーしていますが、日本と世界の価値観の違いをうまく捉え、使い分けたりミックスしたりして困難を乗り越えています。選手の立ち振る舞いや戦いぶりを見て、日本人であることの喜びや誇りを感じてほしいと思います」
こうしたチーム編成の考え方は、他の組織や仕事の進め方にも参考になるもののような気がする。
実績や経験だけに縛られず、変化を恐れず大胆に新しいメンバーで挑んでいく。
日本代表の新たな化学反応に期待しよう。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
