令和の断面

vol.307 引き分けの巧妙

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     15日早朝に行われたサッカーW杯「日本対オランダ」戦は、もちろん早起きしてテレビ観戦した。
    
     結果は「2対2」の引き分け。
     しかし、これで日本代表は強豪相手に貴重な「勝ち点1」を獲得した。
     しかも1点を先制されても追いつき、2点目を取られて再びリードされても試合終盤に同点に持ち込む展開。残念ながら勝つことはできなかったが、これまで一度も勝ったことのないオランダ相手に「引き分け」は、初戦としては、充分な結果と言えるだろう。
    
     日本のスポーツ、伝統的な武道には「引き分け」という文化がない。必ず勝者と敗者の決着をつける。相撲、柔道、剣道など。
     勝敗がつくまでは、どこまでも戦い続ける。言えば、これが、日本の文化とも言えるだろう。そして一度決着がつけば、勝者は驕らず、敗者も潔く負けを認める。
    
     しかし、欧州由来のボールゲームには「引き分け」という文化がある。サッカーやラグビーなどである。
     サッカーもトーナメント戦など大会の運営上、勝者を決めなければいけない場合には、「延長戦」や「PK戦」を行うが、リーグ戦では「引き分け」という決着が伝統的に存在する。正直言ってこの感覚(引き分け)を理解できないところがあったが、「日本対オランダ」の試合を観て、この「引き分け」という文化と価値が分かったような気がした。お互いに死力を尽くした先に「引き分け」という両者を称えるシステムがあるのだ。
    
     勝てなかった悔しさと負けなかった安堵をどれだけ感じるかは、両者の実力やパワーバランス、試合内容などで醸されるものだが、この中庸な結果があるところにサッカーの面白さと奥深さがあるのだろう。
    
     日本にとってこの「引き分け」は勝ちに等しい結果といえるだろうが、その評価が決まるのは、これからの戦い次第だ。
    
     今後、オランダに勝てなかったことが悔やまれることになるのか、負けなかったことが幸いするのか。
     それは、次のチュニジア戦とスウェーデン戦の結果で決まることになる。
    
     サッカーというスポーツの魅力と特異性には、「引き分け」という価値を有していることかもしれない。
     「引き分け」は、両者を称え、両者に反省(改善)を求める。
     そして、大会中にその時間と猶予を与えてくれるのだ。
    
     言葉を替えれば、これがサッカーの持つ優しさだ。
     「引き分け」という緩衝地帯があるのだ。
     だからこそ世界中の人々がこのスポーツに熱狂し、この文化を愛する。
    
     さあ、日本の望みはつながった。誇り高きサムライブルーの戦士たちよ、私たちの希望を背負って、最後まで正々堂々と戦い抜いてくれ!
     
    

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