埼玉県入間郡毛呂山町にある日本医療科学大学の客員教授を約20年務めている。
毎年6月に行われる学園祭「大樹祭」では、特別講義という形でさまざまな競技で活躍した選手、OBに来ていただき、その競技の魅力やご本人の歩みを対談形式で伺っている。
今回は、西武ライオンズや巨人で活躍した「デーブ大久保」こと大久保博元さんにお越しいただき現役時代のエピソードやコーチ&監督時代の話を伺った。
デーブさんは、長嶋茂雄監督時代に巨人でプレーしていて監督には「ブーちゃん」と呼ばれて期待されていた。
巨人では、移籍した直後からバッティングで存在感を見せてレギュラーをつかもうとしていた矢先にデッドボールで腕を骨折。選手としてケガの辛さも経験し、リハビリなどを通じて作業療法などの有難みも身をもって知っている。
それだけに本校の学生たちに向かっても熱のある話をしてくれた。
そんな中で意外だったのは、デーブさんが学生に「メモを取る」ことを勧めたことだった。
大事なことも、ただ聞いているだけでは忘れてしまう。
メモを取ることで、後で見返すことができる。
そればかりか、メモを取ることでその作業を通じてより記憶に残る。
それはデーブさんが現役時代からやってきた習慣で、そうして書き溜めたメモは指導者になってからも彼を助けてくれるものになったというのだ。
デーブさんと言えば、いつも賑やかで文字を一生懸命書いているイメージがなかったのだが、メモをしっかり取ることで大事なことをしっかり学んできたのだ。
この話を聞いてすぐに頭に浮かんだのは、今ロサンゼルス・ドジャースで大活躍する山本由伸投手だった。山本投手のメモについては、以前このコラムでも書いたが、彼は相変わらず試合中でもメモを取っている。
例えばピンチを抑えてベンチに戻った時など、何を書いているのかまでは分からないが、試合中でもメモを取っていて、また以前書いたものを見直したりしている。
実は私も日頃から大きなノートを持ち歩いていて、気になることがあれば万年筆で書いておくことが習慣になっている。
必要なことやキーワードを書いておくことで、変な言い方だが不必要なことを安心して忘れることができるのだ(笑)。
加えてデーブさんは、こんなことも言っていた。
監督やコーチ時代、ミーティングでメモを取っている選手を見ると「やる気があるな!」と感じるというのだ。
「だからスポーツなら監督やコーチ、授業なら教授や先生にアピールする意味でもメモを取るといいよ」と笑いながら助言してくれた。
今の時代、もちろんタブレットやスマホでメモを取る人も多いだろうが、ペンで実際に字を書くという行為には、それだけでより記憶に残るという効果もあるようだ。
ノートにペンで字を書く。
デジタルの時代にアナログの世界だが、これはこれで趣があってなかなか味わい深い作業である。
気になる人はお試しください。
ああ、そういえばサッカー日本代表の森保一監督も、W杯の試合中でも小さなメモ帳にメモを取っていたな。
令和の断面
青島 健太 Aoshima Kenta
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。
