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Vol.54 好況の中の対立。大リーグが直面する「戦力均衡」と「選手の尊厳」の闘い

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    ■繁栄とロックアウトの矛盾、12月1日が決断の日

     米大リーグは12月1日午後11時59分の労使協定(CBA)失効を控え、ロックアウトの可能性が現実視されている。新協定締結にあたり、オーナー側が求めるサラリーキャップ導入と選手会の反発が衝突しているためだ。観客動員やテレビ視聴率が過去最高を更新する好況下での労使対立。その行方は、大谷翔平ら日本から注目される選手たちのプレーにも大きな影響を与えることになる。

     オーナー側が求めるサラリーキャップは明確な目的を持つ。ドジャース、ヤンキース、レッドソックスといった巨大資本と低予算球団の支出格差をなくしたい。戦力を均衡させることで、リーグ全体を面白くしたい。

     だが選手会は断固反対している。サラリーキャップは選手たちの給与削減に直結するからだ。観客動員やテレビ視聴率が好調な中で、なぜ自分たちだけが報酬を削られるのか。その納得できない感覚が、選手たちの怒りになっている。

     大リーグの人気を支えているのは大谷翔平ら超一流選手たちだ。国際的な人気拡大、特にアジア太平洋地域からの視聴者増加。大谷の存在が果たしている役割は計り知れない。にもかかわらず、その選手たちに対してサラリーキャップで報酬を制限する。矛盾は明らかだ。

     ロブ・マンフレッド・コミッショナーは楽観的に映る。ESPN電子版によれば、彼は「来季を行うことを計画している」と明言した。「毎週、選手側と話し合っており、我々が目指すのは合意にこぎつけること」と語ったという。だが交渉は長期化の様相を呈しており、シーズン中止を想定する選手もいる。コミッショナーの言葉とは裏腹に、現実はより厳しい。

     2021年12月から2022年3月にかけてのロックアウトは約3カ月続き、オープン戦の短縮と開幕の1週間延期をもたらした。だが公式戦は全162試合を消化できた。今回も同様の日程を予想する者もいるが、対立はより深い。サラリーキャップをめぐる溝は簡単には埋まらない。

     繁栄の最中に対立する。経営陣は「リーグ全体の未来のために」と語り、選手会は「選手たちの報酬のために」と主張する。どちらかが譲歩しない限り、交渉は続く。その過程で、大谷のように日本から注目される選手たちのプレーが失われるかもしれない。

     ロックアウトは誰の利益にもならないことを、両者は知っているはずだ。12月1日が来る前に、交渉の歩み寄りを願う。好況だからこそ、その利益を選手とも分かち合える知恵が必要だ。野球が愛される理由を、両者が思い出すことを。

     9月10日現在、交渉は続行中だが、双方の溝は埋まっていない。米国メディアの報道によると、MLBPA側は最小年俸を78万ドル(約1億1700万円)からほぼ倍の150万ドル(約2億2500万円)への引き上げ、仲裁前ボーナスプールを5000万ドル(約75億円)から1億8000万ドル(約270億円)への拡大を要求している。

     一方、MLBは提案されたサラリーキャップ導入により、12チームが計6億1700万ドル(約925億円以上)の給与増加を余儀なくされる一方、8チームは計5億7800万ドル(約867億円)の給与削減を迫られるという案を示している(ESPN報道)。MLBPA事務局長ブルース・メイヤーは「プレイヤーシェアが5億ドル(約750億円)以上減少する」と反発し、MLB提案を「あらゆるメジャースポーツの中で選手にとって最悪のシステム」と評した(ESPN電子版)。

     8月27日には、MLBがロスター規則とフリーエージェンシー期間に関する新提案を提出するなど、交渉の形は進んでいる(CBSSports)。だがESPNの分析によれば、「どちらの側も基本的な立場を変えていない限り、リーグは12月1日にロックアウトを実施する」と指摘されている。大谷とドジャースの2027年シーズンが危ぶまれ、日本の野球ファンにも直接的な影響が及ぶ可能性がある。残された時間は短い。

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